財産分与の方法
こんにちは、今回は、財産分与をどのようは方法で求めるかということについてご説明いたします。
この点については、基本的には、相手方に請求する金額を定めた上で、金銭の支払いを求め、裁判所もそれを命じるのが基本です。
しかし不動産などの財産については、不動産を取得した経緯、夫婦の利用状況・必要性、夫婦それぞれの取得希望の有無、財産分与の対象である建物の敷地の権利者が誰のものであるか、等を総合考慮した上で、その現物の給付(不動産の場合には、所有権移転登記手続きをすること)が命じられた裁判例もあります。
不動産が共有名義になっている場合には、その共有持分について所有権移転登記手続きを行うように命じた裁判例もあります。
なお、不動産を移転することにより、請求できる財産分与の金額を超えてしまうような場合には、その差額を相手方に支払うこととの同時履行という形で財産分与を命じる場合もあります(東京高判平成10年2月26日)。
また、複数の不動産や有価証券を夫婦ぞれぞれに分けた上で、差額を金銭的に清算した裁判例もあります。(東京地判平成11年9月3日判時1700号79頁)
このように、財産分与の方法については、話し合いによる合意の場合はもちろん、裁判例においても、個別のケースごとに、柔軟に裁判所が判断しています。