解決事例29(夫の暴力、妻の不貞行為が争われ財産分与と解決金を定めて調停離婚を成立させたケース)
(事案の概要)
・夫・妻40代。子なし
(解決までの流れ)
この依頼者の方のケースでは、妻が不貞を行っており、新たな男性と生活をしている様子もあり、依頼者の方も早期の離婚を希望している一方、妻が自身で精神病である旨を述べ合理的な話し合いが全く期待できないとのことでご相談を頂きました。
妻の方からは夫による暴力が原因で別居や離婚に至った旨の主張がなされているケースでした。
まず、妻の不貞行為が証拠上明確になるかどうかで離婚自体や婚姻費用の減額等に影響してくることから、依頼者にそのような証拠を整理して頂きました。
予定通り、妻側から婚姻費用についての調停申し立てがなされ、当初、婚姻費用算定表による解決を調停委員から提案されましたが、本件では不貞行為がなされているケースであることから、支払いを拒絶し、審判による解決で構わないとの対応を行いました。このケースではお子様がいなかったため、有責性により婚姻費用が制限されると支払いを拒否できる可能性も残されていたからです。
依頼者の方においても、当初よりなるべく早期に離婚の話に移りたいとのご意向であったため、相手(代理人弁護士はついていないケースでした。)がいくらか譲歩してきたため、婚姻費用事件については減額した内容で調停で合意を成立させました。
その後離婚の条件の話し合いになりました。
相手の方から資産の開示を要求され、早期解決のために双方の預貯金等の資産を開示しました。
数回調停による話し合いを行った際に、妻側より、解決金及び投資用の不動産を譲渡する代わりに自宅を譲るという解決案が出てくることとなり、依頼者の方からしても納得のできる範囲の解決案であったため、早期解決のために思い切って決断をして頂き、合意し、離婚できることとなりました。
(弁護士が頭を使ったポイント)
このケースは場合により訴訟において双方有責性が認められる可能性のある事案であり、また依頼者においてなるべく確実に離婚をしたいというご意向があったため、調停の段階で離婚を成立させるよう努めました。
またその前提として、相手方による不貞行為の証拠は婚姻費用の減額や離婚自体に重要になってくるため、早期に確保して頂くよう努めました。
相手方との話し合いが容易ではない状況もあったため、合意を成立させるタイミングを逃さないように心掛け、依頼者の方にご納得頂きました。
事件は解決できるタイミングを逃すと無用に時間がかかったり、事件が複雑化することもあります。解決のタイミングを逃さないようにすることも大切です。
このような判断はなかなか一般の方には難しい面もありますので、一度弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。