解決事例28(夫が離婚の裁判で離婚を拒絶しながら、月に一回以上の面会交流を認める内容で和解離婚したケース)

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(事案の概要)
・夫・妻40歳前後。幼児一人

(解決までの流れ)
このケースは、1・2年同居した妻が幼い子供を連れて妻が家を出て行ってしまい、離婚訴訟を提起され、どのように対応すれば分からないということでご相談を頂きました。
ご依頼いただく前に、依頼者の方で妻や妻の代理人と婚姻費用や面会交流の調停を既に行っている状況にありました。
状況としては、ご自身で婚姻関係について話し合いを相手代理人と行ったが、一方的な主張ばかりで全く話にならない、婚姻費用については調停・審判を経て定められている、婚姻費用を支払っているにもかかわらず面会交流調停で定めた2か月に1回の面会交流さえ円滑にできない、という内容でした。
妻のあまりに一方的な対応に依頼者自身も離婚自体悩んでいる状況でありました。複雑な心境でありましたが、依頼者の方において、子の将来のために父親が可能な限り面会を行うべきである、そうでない場合には婚姻費用を支払い続けても離婚は拒絶したいという気持ちも強くお持ちでした。
依頼者としては、面会交流調停で決まった2か月に一回程度ではなく、1か月に2回程度は面会交流を行いたいという考えをお持ちでした。
一般的に月に2度の面会交流は裁判所も認めにくい傾向にあり、また既に2か月に1回と調停で合意している状況にあったため、どのように対応するかが難しいケースでした。
しかし、依頼者としては、子供のために適切な面会交流が認められないのであれば離婚せずに婚姻費用を継続して支払う状況になってもよいという強い意志をお持ちであったため、離婚の棄却を求めながら、その中で話し合いを行う方針としました。
訴訟の中で当初は裁判所も同居期間に比べて別居期間も同程度になってきているので離婚に向けた話し合いはできないのか、場合により離婚が認められることもあり得るというようなことを述べていました。
しかし、当事務所の方で離婚原因についての裁判例や法的な議論を行い、このような別居期間や離婚原因のない状況では離婚が認められるケースではないということを丁寧かつ詳細に主張しました。
相手方は、当方の同居時の行動についてモラハラ、精神的虐待等の主張を行っておりましたが、書面による反論や本人尋問を行い、次第に裁判官も有責性となる行為自体は認められず、一方妻側の離婚原因の主張が事実と異なるというような心証を持ってくれるようになりました。
このような状況において、当方としては通常面会交流で認められる以上の頻度(夫婦が同居しているになるべく近づけられるような状況)でないと離婚自体応じられないという態度を強硬に主張しました。
裁判官も交え、和解の話し合いを複数回の期日もかけ、また双方の代理人により詳細な面会交流案の調整を行い、ようやく当方の希望していた月に2回の内容で面会交流を定めることができました。
それまで非常に強く拒絶していた妻側も譲歩してきたため、離婚について裁判所が棄却の判断の心証を開示した上で、強く説得してくれたように感じました。
面会交流が決まったところで、今後に紛争を残さないために財産分与の議論を当方より持ち出し、期日を重ねた上で解決金を取得する内容で合意することができました(徹底的に離婚を拒絶するために予備的にも財産分与の請求等は行っておりませんでした。)。
このケースでは戦い方が非常に難しく、事件を進めるうえで、依頼者もたまには当職の進め方があっているのか悩んだこともあったようでしたが、最後の最後で最初から当職が言っていた戦い方の意味が分かった、それを信じてついてきてよかったですということで非常に感謝して頂きました。

(弁護士が頭を使ったポイント)
特に男性が有責性となる行為を行っていなくても、妻が一方的に離婚を求め子を連れて別居したときに男性としては非常にストレスを感じる状況になります。
面会交流もうまくいかない状況で生活費の支払いを行うことについてもストレスを感じてしまう依頼者の方も多いです。
また、面会交流についても基本的に裁判官は月に一回程度以上の面会を認めにくい傾向もあるため、普通に離婚を受け入れてしまうと、依頼者の望む面会交流の状況にならないという難しさがあります。
このケースは、非常に難しいケースでしたが、初めの段階で十分に検討を行い、進め方を検討していたおかげで、依頼者の望む形で離婚の条件が定められてよかったです。
最近ご相談いただくケースで、子供を出産した後になり、特に明確な離婚原因がないにも関わらず、妻側が自身の希望に夫が答えてくれないということで別居を始めたりするケースがしばしばみられます。
このようなケースも、どのように対応していくか非常に微妙で難しい事案が多いため一度弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

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