解決事例13(一度調停で離婚ができなかったものの別居期間をおいて、交渉により離婚成立に至ったケース)
(事案の概要)
・夫50代前半、妻50代後半、妻も相当程度高額な収入あり。婚姻期間が長く子供は成人している。
(解決までの流れ)
この方のケースでは、婚姻期間は長期間に及んでいるが、妻と考えの違いが多く、子供たちも成人していることもあり、人生の将来を考えて離婚することを考えたいということでご相談・ご依頼を受けました。
話し合い自体はできそうな相手方であり、また妻の収入も相当程度高額で離婚後の妻の経済状況も問題なさそうなケースであったため、当事務所においてはじめに奥様に連絡をとり、離婚の申し入れを行いましたが、感情的にどうしても離婚されることを納得いただけず、やむをえず調停を起こしました。
一度目の調停で、相手も弁護士が就任し、離婚の条件を話し合いましたが、どうしても妻側において感情的に合意に至れず、離婚自体は不調に終わり、紛争を減らすために婚姻費用の点につき合意を行うことになりました。
離婚調停が不成立になった後、不動産の名義を妻一人にする代わりに、ローンを妻に切り替える形(それでも妻側には相当程度の経済的メリットがある事案でした。)で再度妻側の弁護士に交渉をもちかけましたが解決にいたりませんでした。
その後すぐに訴訟を行うという選択肢もありましたが、依頼者様のご希望で、すぐに離婚訴訟をせずに少し別居期間をおいて考えることになりました。
その後2年ほど経過して、再度相手と交渉を再開しました。
別居期間がある程度経過し、訴訟の判決までには5年程度の長期の別居になると考えられたこと、訴訟前に協議離婚できるのであれば財産分与において相当程度の譲歩を行う意向のある事、一方で訴訟に至った場合には財産分与において譲歩する意向の無いことを妻に伝えました。
そして、前回と同じ妻側の弁護士と再度交渉を行い、今回は不動産の名義とローンを相手に切り替える形で早期に合意に至ることができました。
(弁護士が頭を使ったポイント)
相手の妻が早期に離婚の決断をできるように、早期の解決が相手にどの程度経済的メリットがあるのか、仮に訴訟で相手の望む結果にならない場合に、相手にどのようなリスクがあるのかをこちらから示すことで妻の決断を促しました。
本来は、相手の弁護士が自らの依頼者にいろいろな可能性を考えてアドバイスするべき事柄ですが、相手代理人によってはそのような説明を行わないケースもしばしばあります(なおこのケースがそうだったというわけではありません)。
そのため、当事務所では、相手の依頼者にもいろいろな方面でのメリット、リスクを検討してもらうために、必要に応じ、このような説明文書の作成を行うこともよくあります。
このような交渉文書の作成は通常弁護士でないと難しいので弁護士をご利用いただければと思います。