財産分与と建物の明け渡しについて

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妻が夫名義の家に居住しており、離婚後そのまま夫が家を所有することになった場合などには、相手方に建物から退去してもらうことが必要になります。
離婚により、妻は、不動産の占有権限を失うので、建物から退去する必要があります。
そして、妻が明け渡しを行わない時に、通常の不動産の明け渡し訴訟を提起することは当然ながらでき、さらに財産分与に伴い不動産の明け渡しを求めることができます。

この点につき、高松高判昭和36年12月15日や東京家審平成4年3月6日においては、財産分与の審判の中で退去明け渡しを命じています。
また、東京地裁八王子支部判決平成14年11月26日、浦和地裁越谷支部判決平成4年12月17日は、離婚判決の中で明け渡しを命じており、参考になります。

また、例えば夫の親名義の建物に妻が居住している状況で離婚にいたることもあると思います。
これにつき、東京地裁平成9年10月23日判決は、夫の母から妻子に対する建物明け渡し請求を、夫婦間の婚姻関係破綻により、建物で共同生活を営むという使用貸借契約上の目的が終了しており、権利の濫用にあたらないとして認容しており、非常に参考になる判例です。(なお夫からの離婚訴訟と併合審理されています。)

このように訴訟等にいたった場合には明渡についても離婚訴訟で判決を取得することができますが、交渉や調停においては、なるべく早期に建物からの明け渡しに応じるよう経済的条件等を譲歩するなどして解決を図ることもあります。

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