過去の未払いの婚姻費用と財産分与

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妻に対して、未払いの過去の婚姻費用が財産分与において考慮されるかということにつきご説明します。
この点最判昭和53年11月14日は「婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様は右事情のひとつにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができる」としています。なおこの事例は別居中の妻子に対し夫が婚姻費用を全く支払っていなかったものです。

この考えをもとに東京地裁平成9年6月24日判決においては、未払い婚姻費用相当額(約6年分)につき1168万円という高額な認定をした上で、算定を行っています。

このように計算上は、未払い婚姻費用については財産分与で考慮されてしまう可能性が高いことから、財産分与の未払いについてはこの点でも慎重に検討する必要はあります。
ただし、例えば妻に不貞行為などの有責性等があり、婚姻費用の支払い義務の有無やその金額に争いがある場合には、財産分与で考慮されるリスクは考えた上で、未払いとせざるをえないこともあるかと思います。

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