夫婦の一方の親が頭金を出して購入した不動産に住宅ローンが残っている場合の財産分与
不動産を購入する際、夫婦の一方の両親からが頭金を出して残りを住宅ローンとすることがよくあります。
一般的に、頭金については、購入価額に対する頭金の割合を財産分与時の不動産時価にかけたものを特有財産として扱い、不動産全体からその特有財産部分を控除した部分を共有財産として扱います。
それでは、その不動産に住宅ローンが残っている場合にはどのように財産分与を計算することになるのでしょうか。
例で検討します。
不動産の購入価格6000万円、夫の両親からの頭金2000万円、財産分与時の不動産の時価3600万円、ローン残額1200万円。
この場合頭金の部分(2000万÷6000万=3分の1)を除いた3分の2が共有財産部分となります。
この点につき、秋武憲一裁判官著「離婚調停」の初版276ページにおいて、ローンを時価額から控除した残額に共有財産部分をかけて計算をしています。
つまり、(時価3600万-ローン1200万円)×2分の3=1600万円を共有財産とする計算方法です。
これに対し、3600万円×3分の2-1200万(ローン)=1200万円を共有財産と考える主張の仕方も実務でたまにみかけます。
そのため、この争点については、依頼者の方の主張をふまえながら、より有利な主張を検討して行っていくことになるかと思います。