判明している相手方の預貯金額が少なすぎる場合の財産分与

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弁護士の窪田です。

今回は男性の離婚のご相談の際によく相談内容としてある、収入と支出からして、判明している預貯金が少なすぎ、相手方が預貯金を隠している場合にどうすればよいかという問題です。

預貯金については、原則的には、通帳や残高証明書や取引明細などにより残高を証明していく必要があります。そのため、相手方が資料を開示しない場合や他にないと述べているがあまりに合理的でない場合には、裁判所の協力も得て、任意に開示を求めるか、それでも難しければ調査嘱託等により証明を行う必要があります。

そのように立証のための努力した場合でも、資料が見つからず、収入の関係などからあまりに不合理な場合に、収入と支出から預貯金を推計して分与対象としている裁判例があります(東京地判平成15年9月19日、仙台地判平成13年6月20日等)。

この考えは全ての裁判例で採用されているというわけではありませんし、交渉と調停でまとめようとする場合、相手方の強い反対が考えられるため、なかなかこの考えでは、合意に至ることは困難と考えられます。

しかし、裁判においては、原則的にはなるべく立証を尽くすことが必要ですが、このような判例をもとに預貯金額を推計する考えで反論を行っていくことも検討すべきでしょう。

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