オーバーローンの不動産以外に預貯金がある場合の財産分与の算定

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オーバーローンの不動産しか財産がない場合には、一般的に財産分与の対象となるべき財産がないという扱いになります。
では、たまにご相談頂く中でご質問があるのですが、オーバーローンの不動産と預貯金がある場合、財産分与はどのように計算することになるでしょうか。

オーバーローンとして債務のはみ出した分を預貯金額から控除して計算するのかという問題があります。

例えば、不動産の時価が3000万円、ローン残高が4000万円、預貯金が2000万円、全て夫名義であるとします。

オーバーローン分:4000万-3000万円=1000万円
預貯金2000万-1000万円=1000万円
これを半分にした500万円を妻は夫に請求できるのか

預貯金2000万円の半分として1000万円を請求できるのかという問題です。

これについては、 秋武憲一裁判官著の「離婚調停」の初版266ページの「オーバーローン」の最後の部分に、「自宅等がオーバーローンである場合は、他の共有財産をもって差額の債務部分を補うことができなければ、財産分与を請求できないということになります。」と書いてあり、この文章からするとオーバーローン1000万円分は控除すべきということになります。

稀に、オーバーローンの不動産を夫が使い続ける場合には、預貯金2000万円を分けるという主張や、両方住み続けないで不動産を売却して財産分与を行う場合にはオーバーローン分を控除した1000万円を分けると考えるべきという主張を行う弁護士もいるようです。

男性の立場からすると、控除されるとする方が有利な場合が多いと思いますし、資産全額から債務全額を控除したものを実質的な財産分与の対象とするという本質的な考えからすると、上記裁判官の考えが原則となると考えられるので、私としては、依頼者により有利な考えで算定した主張をしながら、事案の解決に応じ、適宜若干修正するなどして解決を図っています。

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